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ソリューション

低コスト・高安全な次世代蓄電池の開発

有機ナノ粒子を活物質とするレアメタルフリーの電解液により、安全・低コストな次世代レドックスフロー蓄電池の実用化を目指しています。

高まる長時間蓄電(LDES)のニーズ

再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、天候による発電量の変動を吸収し、電力を数時間から半日程度まとめて蓄えて安定供給する「長時間・大容量の電力貯蔵技術(LDES: Long Duration Energy Storage)」への需要が世界的に高まっています。IEA(国際エネルギー機関)や米国エネルギー省の分析でも、長時間蓄電は再エネ統合の中核インフラと位置づけられています。


なかでもレドックスフロー蓄電池は、電力を出し入れする部分(セルスタック)と電力を蓄える部分(電解液タンク)を独立に設計できるため、タンクの増設だけで蓄電容量を柔軟に拡張できるという構造的な強みを持ち、長時間・大容量用途に最も適した技術の一つとされています。

レドックスフロー蓄電池の構成図: 中央のセルスタックが電力の出し入れ(出力)を、両側の電解液タンクが容量を担い、タンクの増設だけで容量を拡張できる


日本国内においても、制度設計の面からレドックスフロー電池を含む「非リチウム系蓄電技術」への注目が急速に高まっています。電力広域的運営推進機関による長期脱炭素電源オークションでは、2025年7月から蓄電池の募集枠が「リチウムイオン蓄電池」と「その他蓄電池(リチウムイオン蓄電池以外の蓄電池に限る)」に明確に区分され、容量価値を持つ長時間蓄電の供給源として、フロー電池に関心を示す電力会社・事業者が増加しています。とりわけ「その他蓄電池」枠ではリチウムイオン電池との直接競争が生じないため、長寿命・安全性・大容量拡張性を持つレドックスフロー電池の競争環境が整いつつあり、導入検討が加速しています。


こうした背景から、世界のレドックスフロー蓄電池市場は2024年の約76億ドルから2030年には約440億ドルへ、年平均成長率31%で拡大すると予測されています(Global Market Insights調べ)。

従来のバナジウムレドックスフロー電池の課題

現在主流のバナジウムレドックスフロー電池は、大容量化が容易という強みを持つ一方で、普及を阻む構造的な課題を抱えています。

バナジウムレドックスフロー電池の4つの課題: 高い導入コスト・資源の偏在・腐食と保守負担・クロスオーバーによる効率低下

  • 高い導入コスト: 溶解した活物質(バナジウムイオン)の透過を防ぐため、高価なイオン交換膜が必要。電解液に用いるバナジウム自体も高価
  • 資源の偏在: バナジウムは特定の国に産出が集中しており、供給の安定性に課題があり価格も変動しやすい
  • 腐食・保守負担: 強酸性の電解液を用いるため、タンクや配管の腐食・水素ガス発生のリスクがあり、点検・保守のコストが増大
  • クロスオーバーによる効率低下: 活物質がイオン交換膜をすり抜けて両極の電解液が混ざることで、自己放電や蓄電容量の低下が起こる

NanoFrontierのアプローチ

NanoFrontierは、東北大学発の有機ナノ粒子技術を基盤に、次世代レドックスフロー蓄電池の開発に取り組んでいます。

  • 有機ナノ粒子を活用したレアメタルフリー電解液の開発 — バナジウムなどの高価なレアメタルに依存しない、国内調達可能な材料で構成する電解液を開発しています
  • 低コスト・高安全性のレドックスフロー電池セルスタックの開発 — 腐食性の高い電解液を用いない設計により、設備の腐食リスクと保守負担を抑え、システム全体の低コスト化を目指します
  • 系統用蓄電池システムの開発 — 再生可能エネルギーの大量導入を支える長時間蓄電インフラとしての実用化を目指しています

高価なレアメタルや腐食性の高い電解液を用いることなく、国内調達可能な材料による長時間蓄電を実現し、国産蓄電インフラの構築に貢献します。

現在の取り組み

福島県の令和8年度「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」(地域課題解決枠)に採択され、3年計画で開発を進めています。浪江町との連携協定のもと、福島県浜通り地域を拠点に、福島沿岸の海水を電解質として活用するレアメタルフリー電解液と、低コスト・高安全性のレドックスフロー電池セルスタックの開発に取り組んでいます。

本事業は浪江町の「ゼロカーボンシティ宣言」「水素タウン構想」と連動しており、地域の再生可能エネルギーの安定利用と、国産蓄電インフラの構築への貢献を目指しています。また、蓄電池の販売・導入に豊富な実績を持つ株式会社RYODENがマーケットアドバイザーとして参画し、市場ニーズを踏まえた開発を進めています。

想定されるユースケース

想定される企業・組織 活用ニーズ
電力会社・送配電事業者 変電所・系統連系点での再エネ変動吸収、周波数調整、系統混雑の緩和
再生可能エネルギー発電事業者 太陽光・風力発電所に併設する出力変動の平準化・ピークシフト用蓄電池
EPC・エンジニアリング会社 長時間・大容量蓄電案件におけるリチウムイオン電池以外の選択肢
自治体・地域新電力 再エネの地産地消、マイクログリッド構築、防災・レジリエンス強化
蓄電池・材料メーカー 電解液・活物質材料の供給や共同開発によるレドックスフロー蓄電池の低コスト化

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